「・・・・・・参ったな。」 グッタリしたサンジを後から抱き締めて、ゾロはボソッと呟いた。 その言葉の意味を図りかねたのか、サンジが訝しげな視線をゾロに投げた。 「あ?・・・・・・参ったなっつなぁどーいう意味だ。ってーか、オレの方が参ったっての。」 横に置いてある上着からゴソゴソと煙草を引っ張り出し、1本取ると口に咥えて火を点ける。 フゥーっと煙を吐き出して呆れた様にゾロを一瞥すると、サンジは言葉を繋いだ。 「だいだい、初っ端から『抜かず3発』はねぇだろ。オレぁ、てめぇの倍はイってんぜ。クタクタだっつの。」 これみよがしにハァッと溜息をつくサンジの肩にゾロは額を擦り付ける。 「てめぇがエロすぎんだよ。ホント、参った。」 「なっ?!!オレのせいかよ!!――――っ?!!」 ガバッと振り返ろうとして、サンジは痛みに顔を顰めた。 「大丈夫か?」 「心配する位なら、加減しろ!」 「・・・・・・・・・できん。」 少し逡巡した後、そう応えたゾロにサンジは一瞬キョトンとして、そして笑った。 屈託の無い、それでいてどこか艶めいた、ゾロの好きなゾロだけの笑顔。 「そうやって、笑ってろ。」 「あ?」 「オレにだけ、そうやって笑ってくれ。」 「・・・・・・・・・ゾロ。」 「他のヤツに見せんじゃねぇぞ。」 「・・・・・・・・・あー、ゾロ。」 サンジは少し考え込んで、ゾロから視線を外し咥えていた煙草の火を床で消した。 「何だ?不服か?」 「いや、その・・・・・・・・・オレぁ、結構頑張ったぜ。」 「は?」 「だから、てめぇ相手に素直だっただろが。」 「・・・・・・・・・ムリしてんのか?」 「ムリっつーか・・・・・・・・・あー、オレがてめぇに素直って自分で言うのもなんだが、おかしいだろ?」 ゾロは考える。 サンジが素直、サンジが素直、サンジが素直・・・・・・・・・。 「ルフィが食欲不振つー位、有り得ねぇな。」 「だろ?・・・・・・・・・って、そこまでかいっ!!」 デコピンされてゾロが顔を顰める。 「で、それがなんだよ?」 額を擦りながら先を促すと、サンジは顔を少し赤く染めながら俯く。 「オレぁさぁ、てめぇに対する自分の気持ちってヤツに結構前から気付いてたんだけどよ。そん頃ぁ、てめぇとは喧嘩ばっかだったし、 |
どうしたもんかなぁって。一緒にいられりゃいっかとも思った。でも、こう苦しいじゃねぇか。んで、ウソップに聞いたんだよ。
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てめぇなら好きなヤツ相手にどうするよって。したら、いつも笑顔でいるんだって。笑わせてやるんだって。相手の喜ぶ顔が見たいから、
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オレは笑顔を絶やさないってよ。」 「・・・・・・・・・で?」 「ん?んーーー、だからよ、今までのオレじゃてめぇ相手に笑うのにかなり努力を要したっつーことだ。」 「やっぱ、ムリしてんじゃねぇか。」 「だーーーーっ!!違ぇだろっっ!!!」 ムッとしたゾロにサンジがキレた。 「こっ恥ずかしいんだよっ!てめぇ相手に素直に笑うのはよっ!!てめぇが好きだっつーのが、丸分かりじゃねぇかっ・・・・・・・・・って、 |
わっ!!」 自分の言ったことに気付き、口を押さえて真っ赤になったサンジを見て、ゾロはニカッと笑った。 そして、ワタワタしているサンジを更に強くギュッと抱き締めた。 「しゃーねぇ。もう、ムリすんな。オレぁ、てめぇに惚れちまったし。普通のてめぇでいろよ。」 「・・・・・・ゾロ・・・。」 「でもよ、たまにはオレにてめぇの笑顔、見せてくれ。」 ゾロがそう言うと、サンジはククッと笑った。 「オレの笑顔に堕ちたかよ。」 「んーーー、てーか、てめぇが笑うとオレのココがよ。」 ゾロが自分の胸をトントンと叩く。 「てめぇを好きな気持ちで一杯になって、嬉しんだよ。」 「――――っ!!・・・・・・てめぇってヤツは・・・・・・。」 ゾロに向き直り、恥ずかしいヤツと胸元で囁くとサンジからキスをしてきた。 離れようとする唇に、今度はゾロから噛み付くように唇を合わせる。 「もう1ラウンド、ヤるか?」 とゾロが問えば、 「手短に頼むぜ。」 とサンジが笑う。 サンジの首筋をペロリと舐めながら、ゾロは思った。 ――――こいつを笑わせるのは、意外と簡単かもなぁ。 島を出航してからのGM号。 ゾロとサンジを除くクルー達は、ただただ呆然とするばかり。 「サンジくん、変わったわね。」と、ナミが言えば、 「ゾ、ゾロも怖ぇよぉ。」と、チョッパーが震え、 「何があったのか想像してはいけない病が・・・・・・。」と、ウソップは青褪め、 「ま、楽しみましょ。」と、ロビンがしたり顔で笑い、 「サンジにメシ強請っちゃいけねぇの?ゾロと遊んじゃいけねぇの?」と、ルフィはナミに詰寄る。 そんなクルー達の前では。 ラウンジ前の手摺りに凭れて胡坐を掻くゾロと、 その腿の上に腰を下ろして煙草を燻らすサンジが、 ニコニコと微笑みあっている。 自分の感情に素直なゾロに。 明白な愛情表現に、はじめ驚き、呆れ、恥ずかしがり、でもやっぱり嬉しくて終始頬が弛みっぱなしのサンジに。 お互いが、超ご機嫌だ。 サンジの笑顔の行方は、ゾロの行動が握っているのだ。 END |
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サンジのゾロへの猛アタックと、ゾロの娼館貸しきり状態v
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