私立神南高等学校。
元は実業家達が子弟の教育を目的として設立した、生徒数2200名を越えるマンモス校。その中でいて、どこで何をしていても目立つ生徒。しかも本人はそれを自覚しているのかいないのか……いや。そもそも、そんな事を気にしてすらいないのかもしれない。けれど周囲の人間をより効果的に煽る術を心得ていて、――尊大で傲慢とも言えそうやけど――いつでもどこでも自信満々って態度を崩さへん。それが私、から見た、東金千秋という男。
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俺があいつを気にし始めたのは、もう随分と前の事や。あいつはそれを、覚えてもないだろう。いや、そもそもそれに気付いていたかどうかさえ怪しい。その頃芽生えた思いが何なのか。それを口にするより先に、お前は俺の前から居なくなった。幼心に思ったもんだ。もっと早く伝えていれば良かった。会えなくなる前に、もっと仲良くなっておけば良かった――ってな。
だが今は、ガキの頃とは違う。また遠くへ行くのかと思ったお前は家族を見送り、日本に――俺の手の届く場所に残った。たとえそれが偶然にしか過ぎない事で、未だ友達の域を抜けてさえいなくても。今はそれで良い。
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