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ダメに効くクスリが効いたのか、ゾロの迷子癖が治った・・・とみんな思っていた。 上陸して街に散っても、集合時間に遅れることがなくなったのだ。 きっちりばっちり揃うべくして揃っている。 さすがチョッパー、グランドライン一の名医と褒め称えたが、チョッパーは「褒めたって嬉しかねえぞ このヤロー」なんて身をくねくねさせなかった。 所詮ゾロに飲ませたのは葛根湯だ。 プラシーボ効果って凄いと別の研究を始めたらしい。 無論、葛根湯が効いた訳でも方向音痴が治った訳でもなく、普通にゾロはゾロだった。 島での過ごし方がストーカーじみたモノになっただけのこと。 気付いたのはいつからだったか。 どんなに人の多い街角でも、草原が広がる閑散とした田舎でも、照明の乏しい暗い路地の合間でも、 ゾロの視界の隅にキラリと光る金髪が映る。 ありゃあ蛍か? 燐光を残してふわふわと移動する能天気頭を見つけては、ゾロはなんとも苦々しい気分を味わって来た。 久しぶりの上陸だ。 一人きりで気侭に歩き、酒を食らい適当に寝くたれる自由時間だってのに、なんだって毎回あのキンキラ 頭に気付かなけりゃならないのだろう。 奴が俺の周りをウロチョロしてやがるのか。 オレの行動範囲内に奴がいるからか。 最初は無視を決め込んでいたゾロも、さすがにこう度々出くわすと用心するようになった。 少しでも先に相手の存在を見つけて回避するのだ。 船の上でもきゃんきゃん小うるさい口に、陸の上でも喚かれたら堪らない。 そう思って常に気を配れば、コックの存在はより容易く感じられるようになった。 例え視界の中に入らなくとも、次の角を曲がれば奴がナンパしてるとまで、感じるようになってしまった。 そうして角を曲がれば案の定、女相手にくねくねしている。 それを見て、またしても強烈な不快感に襲われた。 街中でみっともねえ。 女に媚び諂いやがって、鼻の下まであんなに伸ばしてヘン顔で、船ん中でもナミやロビンに言いように あしらわれてんのがうざってえのに、陸でまでなんでてめえのみっともねえ姿見てなきゃなんないんだ。 ムカムカムカ・・・ 理不尽な怒りはサンジの前で「ええ、でっもー」と可愛く小首を傾げている女にも向けられた。 こいつもこいつだ。 こんなおかしな男に声掛けられてなんで変だと思わねえんだ。 眉毛巻いてんだぞ 鼻の下伸びてんだぞ 目がハートなんだぞ? どう見たって挙動不審だろうが。 こんなんについてくなんてよほどの馬鹿か尻軽だろう。 実に失礼な八つ当たりの念波を浴びて、女は無言のまま怯む。 そう、大概女性の方が勘が鋭い。 路地を一つ隔てた向こうから刀三本下げたヤバそうな男が仁王立ちになってギンギンこちらを睨み付けていたら いくらなんでも気付くだろうが、背を向けているサンジはさっぱり気付かなかった。 「私、急いでるから・・・」 途中でさっと顔色を変えて後退り、とっとと立ち去る女の背中に未練がましく片手を上げて、そんなつれない 貴女も素敵だ〜vと叫ぶ姿があまりアホっぽい。 だがゾロは一先ずは満足して壁際で腕を組み一人うんうんと頷いていた。 行き交う人は半径2m以内には近付かないよう遠回りして通り過ぎている。 どんな混雑時でも人の流れを変えてしまう傍迷惑なストーカー。 最近のゾロは上陸する度こんな感じで過ごしている。 サンジのパターンはどの島でも大体同じだ。 日中市場を冷やかした後くるりくるりと街中を彷徨い、目に付く全ての女性に声を掛け無言の眼力で全ての 女性に逃げられて、がっくり肩を落として酒場に向かう。 料理人の勘か鼻が効くのか、パッとしない小汚い店で地元料理を軽くつまむのがコックの日課だった。 きっと女連れなら小洒落た店に入るんだろうが、今夜も収穫がなかったから一人でトボトボと路地裏に向かう。 ざまあみろとせせら笑いながら、問題はここからだとゾロは一人気を引き締めて着いて行った。 今日もまた、女より厄介な連中が待っているに違いない。 コックが一人で扉を開けると、店中の目線が一気に集中する。 そんなこと見なくても気配でわかる。 だが当人は注目されていることに気付かないのか頓着しないのか、意味ありげな視線を物ともせずにさっさと 店内を突っ切ってカウンターに腰掛ける。 そうして店のマスターと親しげに言葉を交わす。 いつものパターンだ。 数分遅れてゾロも店に入った。 ちらりと視線を向ける者もいるが、大概客同士は知らん顔で飲み食いを続けている。 普通はそうだ。 ああ、客が入って来たなとその程度の認識だろう。 なのになぜ、コックが店に踏み込むと他の客の関心まで引いてしまうのか・・・ これもゾロの疑念の一つだった。 自分がどこにいてもあのキンキラ頭を見付けてしまうように、酒場の連中も先ずはその見てくれに注意を 引かれるのだろう。 それが稀有な金髪だったり、蒼い瞳だったり器用に巻いた眉毛だったり。 そこまで細かく気付かなくとも、すんなりとした痩身や場違いな黒のスーツ。 それに映える白い肌が悪目立ちするのかもしれない。 そう、なんせコックは目立つ。 街中の、女共の前では奇矯な行動で。 こんな寂れた酒場では、その艶やかさで男達の目を誘う。 そうしておいて、女の前で晒していたあの間の抜けた馬鹿面ではなく、つんと澄ましたすかした面でいるたあ 一体、こいつはどういう了見なんだ。 普通逆だろ。 ヤキモキしながら店の隅に陣取ったゾロに気付かず、サンジはいつものように陽気に店の主人と話し始めた。 この島は何が美味いんだ? ここのおススメ料理はなんだい? 料理人同士通じるものがあるのかサンジの気安さが気に入られるのか、大概主人は機嫌良く応対し、 あれこれと料理を勧める。 そのうち店の常連達も話に加わって妙に盛り上がって来るのだ。 酒に酔っているにもかかわらず。 ゾロの想像通りの展開になるのに時間はかからなかった。 まるで知己の友人のように周囲に溶け込んで、気安く肩なんか組んだりしている。 煙草を咥えたまま大口開けて笑って、酒に強くもないのに調子良く飲んで、耳どころか胸元まで赤く染めて・・・ みっともなくて見てられねえ。 「んで、これがこの島特製の地酒だぜ。」 カラリと快い氷の音を鳴らして、コックの前に怪しげなピンク色のカクテルが置かれた。 「潮風が吹く丘の上にしかならねえ、珍しい果実を使った酒だ。」 「へええ・・・」 コックは頬を上気させたまま珍しそうに繁々とカクテルに見入った。 もう何倍目かのジョッキを空けながら、ゾロはおいおいと心中で突っ込みを入れる。 どう考えたっておかしいだろうが。 こんなむさ苦しい酒場で、なんでそれだけ妙に小洒落たカクテルなんだ。 しかもオレンジやら花やらつけてよ。 明らかに女に飲ませるそれじゃねえか。 しかも野郎に囲まれたこの状況で、それを勧められるってのが何を意味してんのか全然わからねえのかこいつは? ヤキモキしているゾロを背中に、サンジは上機嫌に笑っている。 「ふえ〜vなんか匂いは甘酸っぱいな。こんなのレディのが似合うんじゃねえの〜」 「いやあ、あんたにもよく似合ってるぜ。」 「まあ飲んで見ろって、世界がピンクに染まるからよ。」 ――――頃合か。 ゾロは一旦目を閉じて息を整えた。 ゆっくりと瞼を開ける。 視線を黒い背中一点に集中させれば、俄かに店内のざわめきが止んだ。 ひやりと、冷たい空気が周囲を覆う。 酔っ払ってがなり立てる男も、さっきまで乱闘寸前だった男達も一斉に動きを止めて恐る恐る酒場の隅を振り返る。 一人、テーブルで静かに酒を飲んでいる男がカウンターを眺めていた。 ただそれだけのことだ。 それだけのことなのに、この只ならぬ雰囲気がはなんだ? その男の目は射殺さんばかりに鋭い光を湛えてカウンターでヘラヘラ笑う金髪男と、その周辺に注がれていた。 マスターはカウンターの中で縮み上がり、隣に座る男は振り返ることもできず硬直している。 冷や汗をタラタラと流すその隣で、金髪男はグラスを手に取った。 「んじゃ、いっただっきまー・・・」 強張っていた男ががしっとその手を抑えた。 声にならず、無言のままただブルブルと顔を振る。 飲んじゃダメだ。 飲ませたいけど、今飲んじゃダメだ。 なんか俺が殺される気がする。 他の客達も固唾を呑んで見守っている。 この緊迫した雰囲気の中で、一人だけ空気を読めない金髪はまたへらりと笑った。 「ケチケチすんなよう。あ、でもこれあんたの奢りなv」 そう言って―――― 一気にゴクゴク飲み干してしまった。 |
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「う、わあああああっ」 悲鳴を上げて飛び退ったのは周りの男達だ。 主人はカウンターの下に伏せ、関係のないテーブルの者達もつられて腰を浮かしている。 ゾロは空になったジョッキを置くと、ゆっくりと立ち上がった。 さーっと周りから人が退く。 さながらモーゼの十戒のように開かれた道を進み、暢気な薄い背中の後ろに立った。 「あー、美味え〜・・・でもちいと、甘えな。」 間の抜けた声がしんとした店内に響いた。 「な?」 こてんと首を傾けてなおも問い掛けるコックに、すでに3mは離れた男がテーブルの向こうからうんうんと 頷き返した。 「この阿呆・・・」 唸るような声が頭から降りてきてサンジはぐにゃぐにゃのまま頭だけで振り仰ぐ。 「あんれ?なんでマリモがここにいんだ?」 すでに呂律が回っていない。 阿呆はこの際後回しにして、こいつらの成敗が先か・・・ 何も言ってないのにゾロの思考はダダ漏れらしい。 顔を上げたら客達が一斉に飛び退ってテーブルやら椅子やらでバリケードを築き上げた。 「お、俺らのせいじゃねえぞうっ!」 「そうだそうだ、そいつが勝手に飲んだんじゃねえかっ」 「俺は止めたぞ、止めたんだあっ」 まるで子どものように喚いて命乞いをする。 ゾロはチッと舌打ちするとカウンターの下を覗きこんだ。 主人は這い蹲ったまま裏口から逃げようとしている。 「ちょっと待てオラっ!」 見事な巻き舌でその動きを封じ込めば、ゾロの隣でガチャンとグラスの割れる音がした。 見ればコックは完全にカウンターに突っ伏してへたっている。 「この馬鹿野郎、飲み過ぎだ。」 首根っこを掴んで引き起こすと、ただでさえ赤い顔が茹蛸のようになっていた。 しかも呼吸は荒く乱れている。 「う・・・あち・・・」 なんてことを呟いて、シャツの襟元を引っ張ったらぷちんとボタンが飛んでしまった。 斑に染まった胸元が露になる。 お、と覗き込むギャラリーを目で牽制して、ゾロはスーツの前を合わせるように掴み上げた。 「ラリってんじゃねーぞ、とっとと出るぞ。」 「・・・やだ」 はあ? サンジはそのままくたんとゾロの胸に懐いて、あろうことか腕を背中に回して来た。 「もう歩けねー・・・無理・・・」 足まで絡み付けられて、さすがのゾロも硬直する。 気を取り直してまた逃げ掛けた主人に怒鳴り付けた。 「てめえ、何の飲ませやがった?」 「な、ななな・・・なんも、たいしたモンじゃねえ・・・一過性のモンだ」 「一過性だと?」 「ただ、即効性もあるけどな・・・」 苦笑いするあから顔を目一杯睨み付けて、ゾロはサンジを抱えたまま刀に手を掛けた。 「うわわわわっ」 また一斉に客が身を伏せる。 「待った、待ったお客さん!部屋を貸すからっ」 「なにい?」 殺意を込めて振り返られて、主人は手にした盆でゾロの視線をかわしながらも必死で言い募った。 「二階、二階に空き部屋があるから自由に使ってくれ。ここで暴れられちゃ、たまらねえ。」 「何がたまらねえだ、迷惑なのはこっちだっ」 「うん、ゾロ〜〜〜」 あろうことか、背中に懐いた馬鹿は、そのまま下半身を擦り付けて来た。 卑猥な動きに周囲は絶句し、ごくりと唾を飲み込む音が生々しく響く。 ゾロはええいと唸ってサンジを横抱きに担ぎ上げると、主人に示された階段を一気に駆け登る。 と、足を止めて階段の登り口からすっと足で線を引いた。 「てめえら、わかっちゃいるだろうとは思うが・・・」 口元を歪め、意識して表情を凄ませる。 「この線踏み越える奴がいてみろ、骨も残らねえぜ。」 そう言ってにやりと笑う男が元海賊狩りだとか賞金首だとか、そんな知識はまったく無いのに、 その場にいた全員は震え上がって一斉に首を縦に振った。 恐ろしい。 この男に逆らったら命が幾つあったってきっと足らねえ。 どんなに愚鈍な男にも本能でそう悟らせる無言の牽制を残して、ゾロは二階へと消えた。 部屋には鍵がかかっていただろうが、適当にドアノブを千切って乱暴に踏み込んだ。 一応宿の体裁は整えているらしい。 セミダブルのベッドがひとつ、ぽつんと中央にあるだけのシンプルな部屋で、ゾロは乱暴にサンジの身体を シーツの上に落とした。 が、サンジが首根っこを掴んだままだったので、結局一緒に倒れ込む。 スプリングの利いたベッドの上で、大の男が縺れたまま二人で弾んで寝そべった。 「この野郎、いい加減にしやがれ!」 ゾロはサンジの頭を掴むと、シーツに押し付けるようにして自分は身体を起こす。 白い手がしっかりと襟元を掴んでいて、びよんとシャツが伸びた。 突っ伏したままの顔は赤く火照って、布の隙間からハアハアと苦しげな息が漏れる。 「離せ、水を持ってくるだけだ。」 店主は一過性だが即効性だとも言っていた。 このままこの部屋に閉じ込めといて、朝まで様子を見た方がいいのだろうか。 しつこいサンジを張り倒して水差しに手を伸ばすと、コップに汲むのも面倒臭く金ぴか頭の上から じゃばっとかけた。 「・・・あにすんだ・・・」 呂律の回らぬ声で抗議するのに舌打ちして、襟首を掴んだままシャワー室まで引きずる。 「もっと水ぶっ掛けなきゃ、酔いは覚めねえみてえだな。」 我ながら、ちと暴走しているとゾロは自覚していた。 酔っ払いの上に恐らくは催淫作用のあるクスリを混ぜられた酒を飲んだんだ。 コックの様子がおかしいのはそのせいだとわかっているが、どうにもこうにも腹立たしい。 こんな見も知らぬ土地で、やすやすと男の罠にかかって身を落とすような軽薄な真似をしたことが許せない。 俺があの場にいなかったら、どうなってたと思ってんだっ それを考えるだけで腸が煮えくり返るようで、シャワーのコックを捻る手すら怒りに震えてままならなかった。 「暑・・・」 頭から冷たいシャワーをかぶっているのに、サンジは頬を上気させてちろりとゾロを眺め見た。 視線が絡まるように艶やかで、なんとも落ち着かない。 「情けねえ、ザマだっ!」 ゾロは動揺を誤魔化して怒鳴った。 「いっつも島に下りりゃあ、あっちフラフラこっちフラフラ、挙句にラリってお寝んね寸前かよ。 油断しすぎにもほどが・・・」 「暑〜」 聞いちゃあいえねえ。 サンジはうるさい蠅でも払うように片手を軽く振ると、シャツの襟を引っ張って胸元を晒した。 ピンクに染まった胸板を、滑るように水が流れ落ちる。 うっかりその流れを目で追って、ゾロも頭から水を浴びてしまった。 「おお、マリモが生き生きと・・・」 「ざけんなっ!」 襟首を掴み上げた腕に手を添えられて、サンジが顔を寄せた。 至近距離の睨み合いは見つめ合いと紙一重だ。 動けないゾロに唇をつけて、すっと離れる。 ――――からかってるのか? 引っかかりやがってバーカとか、間抜けた面してんなとか、哂いと罵声が飛ぶ筈なのに、サンジは何故か しっとりとゾロを見つめていた。 その顔は、酔っているにもかかわらず少し蒼褪めて見えて・・・ 水の飛沫が金糸を伝ってきらめく。 濡れて張り付いたシャツの下で、サンジの薄い胸が大きく上下しているのがわかった。 その胸に触れて、掌越しに伝わるどくどくと踊るような鼓動を確かめて、薄く色づいた突起に指を這わせる。 びくりと揺れる肩の動きに満足して、背中に手を回した。 サンジは抗わない。 悪態もつかない。 きっとクスリのせいだろう。 そう納得してゾロはサンジを抱き寄せると改めてその唇に噛み付いた。 |
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シャワー室で裸に剥いて、濡れた身体のままシーツの海にダイブした。 サンジは擽ったそうに身を捩って、ゾロの唇から逃れようともがく。 喉の奥から引き攣れる様に漏れる笑い声を噛み砕くみたいに、ゾロは荒々しく舌でサンジを封じ込めた。 薄い腹を震わせながら、ゾロの下でサンジが蠢く。 擦り付けられる股間はすでに熱く滾っていて、先端から滲み出た露がぬるりと滑った。 口内を犯しながら平らな胸を何度か擦り、ふつりと立ち上がった乳首を荒く抓む。 「ん・・・」 吐息が鼻に抜けて、合わせた唇が笑いの形に歪む。 「やべ・・・、ジンジンする・・・」 「煽るな阿呆。」 口付けを解いてもう片方の乳首を含んだ。 舌で転がすと、サンジは胸を反らして強請るように押し付けた。 「ん―――やべ・・・」 「気持ちいいのか?」 口に含んだままそう問えば、舌の形に合わせて尖りが固さを増す。 素直な反応に気を良くして、ゾロは忙しなく指と舌で愛撫を繰返した。 なんの面白みも無いはずの偏平な胸の、尖りだけでここまでクるとは。 シーツに皺を寄せて身をくねらせるサンジの、肌の色や荒い吐息や、乱れる髪に目を奪われる。 クスリのせいだろうが、これはやばい――― こんな危険物が往来を一人で歩いてたかと思うと、今更ながら肝が冷える。 このままシーツに包んで船底に閉じ込めて、誰の目にも触れないよう仕舞ってしまいたい。 馬鹿な想像を巡らしつつ、ゾロはサンジの隅々までを味わうように舐めた。 足首を掴んで左右に開き、皮膚の薄い腿の内側から腰骨を舌で辿る。 触れてもいないのに、そこだけ色の濃いペニスがふるりと震え、露を零した。 焦らすように輝く繁みを口先だけで食んで、起立したモノを柔らかく掌に包み込む。 途端、弾けるように射精して手の甲を濡らした。 「やべ・・・」 頬を染めて、サンジが荒く息をつく。 「なんかやっぱ、俺・・・ヘン・・・」 「モトからだ、アホが」 指の腹で粘液を擦り合わせて、そのまま後ろへと滑らせた。 息づくように収縮する孔にぴたりと添えれば、心持ち筋肉が強張る。 「ちゃんと責任取れよ、てめえ。」 唸るゾロに、サンジは仰向いたまま大袈裟に目元を上げる。 「何が。」 「俺を煽った責任だ。」 ぐっと指を押し入れる。 強い弾力で押し戻そうとするのを滑りを使って強引に割り入った。 痛えとサンジが小さく呟く。 「力、抜け。」 「うっせ、この強姦魔。」 「や、違うだろ。それ」 ぐにぐにぐに何度も押し出されそうになりながら、指は着実に奥へ奥へと減り込んでいく。 今まで触れたことも無い、他人の柔らかな部分。 指一本できつきつの恐ろしく狭い隙間を犯せば、肉壁が熱を伴って締め付けてなんとも気持ちいい。 「気持ち悪い〜〜〜」 ゾロの快感に反して顔を顰めるサンジを無視し、何度も液を擦り付けては内部を探る範囲を広げた。 もしやと思い、ベッドサイドの引き出しを開ければそれらしきチューブがある。 片手で蓋を抉じ開けて豪快に絞り出し、べたつくほど擦り付けた。 「気色悪い・・・」 文句ばかり言う口を塞いで、神経を後孔に集中する。 何度か抉じ開け擦るのを続ければ、かなり奥まで指が届くようになった。 「ん―――」 唇を合わせたまま、サンジが裏返った声を漏らす。 びくんと身体を震わせる箇所で小刻みに指を揺らして、その反応を確かめた。 「ん、ぷはっ」 顔を振って口付けから逃れると、背を仰け反らしてシーツを掴む。 「あは、やべ、やべえ・・・、あ―――」 きゅうと指を締め付けられて、ゾロは慌ててまたしても勃起したサンジを掴んだ。 「アホ、またイく気か。」 「や、イく・・・イきて〜」 「ダメだ。」 根元を掴んだまま指の動きを再開する。 面白いようにサンジの身体が跳ねて、水面を泳ぐ魚のようだ。 「やだってやっ・・・そこ、わああ・・・」 膝裏に手をかけて、思い切り開かせて指の根元まで嵌め込んだ。 そのまま激しく出し入れすればサンジはベッドに張り付いたままあられもない声を上げる。 「やだって、ひう・・・」 足指が引き攣り、白い太股に筋肉の筋が浮かんだ。 頃合いかと指を引き抜き、掌に残ったジェルを暴発寸前の己に塗り付けてヒクつく孔に押し当てる。 「・・・はあ・・・」 サンジは足の間に入ったゾロを見下ろすようにして深く息を吐いた。 溜め息でも諦めでもない、誘うような甘い息。 なんだかたまらない気持ちになって、ゾロは両手でサンジを抱き締めるように腰を進めた。 内部が熱く蠢いてゾロを包み込む。 痛いほどに狭く締め付けるのに、決して拒まれてはいない。 そのことが知れて、なんとも言えない気持ちになった。 クスリの作用でも一時の快楽でも、コックが自分を受け容れた。 そのことに子どものように胸が高鳴る己を密かに恥じる。 誤魔化して強く押し入れば、サンジは顎を反らして低く呻いた。 それでもゾロの肩にかけた手は外さない。 撓る白い背を撫でて、微妙に腰を揺らしながら根本まで埋め込むと、二人同時に息を吐く。 それが安堵だと気付いてお互いに笑った。 「動くぞ。」 「いちいち言うな、馬鹿」 顔の横に両腕を立てて、ゾロは上下に腰を揺さぶった。 「ンあっ・・・」 最初の刺激に慣れなくて、低く呻くと同時にきゅうと締まる。 うっかりもってかれそうな快楽に耐えながら、ゾロは歯を食いしばって少々ムキになった。 ガツガツと腰を打ち付ければ、サンジはゾロの手首にしがみ付いて絞り出すような声を上げた。 「うああっ・・・やべえ、や・・・」 ともすれば閉じそうになる両脚を膝で割って、ベッドのスプリングを利用しながら抽迭を繰返す。 その度裏返った声を漏らして、サンジは頭を振った。 「ああ、やべって、イイ―――なんかすげー・・・ああっ・・・」 「んの、クソ野郎―――」 怒りだか快楽だかで、血管が切れそうだ。 可愛い声で啼いてくれるお陰で理性の糸がぷつんと切れたゾロは、両手で膝裏を抱えて音が立つほど腰を 打ち付けた。 挿入時に萎えていたサンジ自身がまた立ち上がり、しぶくように露を滴らせる。 「ん・・・もう、だめ・・・よすぎっ」 シーツに髪を散らばらせて、サンジは両手を己に添えると狂ったように扱き始めた。 途端にきゅうと強烈な締め付けが来て、ゾロはカっと目を見開いた。 とろりとした表情で自分を見上げるサンジ。 濡れた口元。 赤い痣のついた首筋から胸へかけた白さが目に眩しくて、そこだけ濃く色づいたペニスを濡れた両手で 己で慰める様が卑猥すぎる。 「んの、やろ・・・」 指が食い込むほどに強く内股を押さえて、欲望のままに打ち付ける。 「んあ・・・イイっ、気持ち、い―――」 ぴしゃんと、白い腹に液が散った。 自ら扱く指の動きを陶然と眺めながら、ゾロは大きく胴震いしてその最奥に精を放った。 びくんびくいんと内壁が脈打つ。 一滴も漏らすまいとするかのような収縮に、ゾロは奥歯を噛み締めたまま低く唸り、サンジに覆い被さった。 「は―――すげ・・・なんか、跳んだ・・・」 仰向いたまま口元を濡らしてサンジはへへ、と笑った。 何故かきゅうと内側が締まり、それがなんとも心地よくて離れ難くなる。 痩せた肩甲骨の裏に腕を回して裸の胸を密着させれば、サンジは抗わず両手をゾロの背中に回した。 「・・・うえ〜、ぐちょぐちょ・・・」 自ら放った精液が腹の間で滑る。 まるで押し付けるように腰を揺らし、サンジはまだ納められたままのゾロ自身を刺激する。 「まだ、足りねえか?」 「ああ、まだまだ足りねえ・・・」 「この淫乱め」 舌打ちしつつ、ゾロの目は笑っていた。 痩躯を抱え上げ、唇を重ねながら下から突き上げるように腰を揺する。 たちまち硬度を増したペニスは、サンジの内部に納められたまま内側から無遠慮にその存在を誇示している。 白い臀部を両手で支え、軸のように僅かに回転させながらサンジの身体を揺らし貫けば、金髪を振り乱して 顔を歪め、ゾロの首筋にしがみ付いた。 「うあ・・・なんか、てめ・・・ひでー・・・」 「なにがだ」 「いや、だってよ・・・ああ、は・・・」 ゾロの上でサンジが踊る。 汗を滴らせ、身をくねらせて快楽の声で啼く。 啼きながら膝を擦り合わせ、無理に身体を押し込んで開かせるゾロを締め付けた。 「てめ、こそ・・・なんて性悪だっ」 「うっせ・・・あああ・・・」 中で放たれた液がぐちょぐちょと卑猥な音を立てて、ゾロの股間を濡らした。 滑りテカる凶悪な肉棒がすべて見えるほどに引抜いては腹に当たるまで打ち付けるのを繰り返し、 サンジは両手でゾロの頭を掴んだまま背を撓らせて一際高い声で啼いた。 「・・・ああ、ん・・・すげ・・・なん、て・・・めちゃく・・・」 「がっつくな、阿呆っ」 必死の形相で腰を浮かせば、サンジの太腿が大きく痙攣した。 反り返った腹に自らの白濁がぴしゃりとかかる。 触れずしてイったペニスは、小さく身震いしながら数度に分けて精を垂らした。 ゾロは腰を支えていた手を外し、萎えて行くそれを掴んで搾り出すように軽く扱いてやる。 「はあ―――・・・」 感に堪えない声を出して、サンジは口端から唾液を流しながらうっとりとゾロの首筋に顔を埋めた。 サンジの内部に納めたまま、ゾロも2,3度腰を動かし余韻を味わう。 サンジの痴態に嵌った状態で、己もまた豪快にイってしまった。 ともかく、今まで経験したこともないほどの気持ちよさだ。 SEXってのは、こんなにイイもんだったのか? つうか、こんなもんに嵌ったらヤバイんじゃないのか? 目を閉じて荒い息をつくサンジの額に浮いた汗を舐めて、そのまま唇をずらし口付けた。 舌を絡めて吸いつけば、薄目を開けてそれに応える。 薄く膜を張った瞳は蒼に滲んで、それでいてしっかりとゾロを見つめていた。 「・・・最高だな、てめえ」 らしくもなく、素直な賛辞が口をついて出た。 にやりと、サンジは艶めいた笑みを返す。 「てめえも、悪くねえな。てめえ同様こいつも・・・」 言いながら意識して締め付けてくる。 ゾロは律儀にそれに呼応して硬化した。 「ずうずうしくて無遠慮で、でかい態度で無茶してきやがる。」 「そういうてめえは、どこまでも生意気でふてぶてしいな。行儀も悪いぞこんなとこまで―――」 ぐい、と力任せにサンジを持ち上げ己を抜いた。 「んあっ・・・」 くぷんと音を立てて、半勃ちのペニスが弾みで揺れる。 「ばか、急に・・・」 文句を言うサンジを横倒しにして膝を曲げさせ、突き出した尻に指を突き入れた。 「ぐちゃぐちゃにしやがって、はしたねえ・・・」 「ばかっ、入れんな・・・あああっ・・・」 2本の指で掻き混ぜられて、サンジはシーツの上で助けを求めるように腕を掻いた。 指の股まで押し入れられるように突き刺しては内部で開く。 ゆるく勃ち上がった薄いペニスを口に含んで、ゾロは指で刺激しながら舌で直接愛撫した。 「う、ああああっ・・・そん、なっ・・・や―――」 「俺も責任取るぜ、何度でもイかせてやる。」 さすがに、口に咥えても正確な発音でもってそう宣言すると、サンジは程なく小さく射精した。 「も・・・無理―――」 酔いが覚めたのか、サンジはシーツに顔を埋めたまましどけなく倒れ付した。 乱れた金髪の間から覗く耳が色づいている。 誘われるようにそこに吸い付き、背中を撫でながらゾロも横に寝そべった。 耳から首筋へと唇をずらし、伏せた胸元へ潜り込もうとすれば、ぺちんと頭をはたかれる。 「無理だっての、もういい。」 「責任は取る。」 「いやもういいって、俺が―――」 顔を上げたサンジの真上で、ゾロは満面の笑みを浮かべていた。 「そのキンキン頭がやたらと目に付くのも、てめえの声ばかり届くのも―――」 髪を撫で、耳元に唇を近づけてゾロが囁く。 「てめえのすることなすことが気になって仕方ねえのも、全部てめえのせいだ。だから―――」 赤く染まった頬に口付け、左右に泳ぐ瞳の動きを興味深く見守った。 「わざと酒飲んだてめえの責任、てめえで取れよ。」 ――――バレてた? 「いつまでも自覚しねえてめえが悪いんじゃねえか、この唐変木!!」 がばりと身を起こし、照れ隠しに思い切り怒鳴って枕を投げつけたサンジは、そのまま魔獣に押し倒されて 床で1回ベッドで2回、さらにシャワー室でもう1回責任を取らされたそうな。 程なくして、この二人がGM号随一のバカっぷるになるのは、周知の事実。 END |
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『とねりこ通信』のみうさまからDLFのSSを頂いてきましたv
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ストーカーゾロvv滅茶苦茶可愛い!!
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サンジの色っぽさには誰しもうっとりするんですが、流石みうさんち魔獣ゾロは違います。
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うっとりする前にちゃっかり頂いちゃうとこが最高に素敵!
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しかも、しっかり誘い受けサンジv
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いいっ!実にいいわっ!!ラブラブバカップル、万歳!!!
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みうさん、素晴らしいSSをDLFにして下さって、ありがとうっ!!
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