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今日はオレの誕生日前夜っつーやつなんだが。 歳を取る事に別段何かを感じるわけでもねぇし。 明日は大宴会になるが、何かにつけて呑みてぇ食いてぇ集団だからな。 いやまぁ、嬉しいのは嬉しいんだがよ。 人に祝って貰うことなんざガキの頃以来無かったことだしな。 夜の鍛錬後、風呂でシャワーを浴びながらぼんやりとそんな事を考えていた。 喉渇いたな・・・酒でもかっぱらってくるか・・・。 そう思ってキッチンに足を運んだんだが、未だに明かりがついてやがる。 どうせコックなんだろうけどな・・・。 そう思うと、足が止まっちまう。 コックとはどうにもこうにも、うまくいかねぇ。 顔をつきあわせての罵り合いなんぞは朝飯前。 足は飛んでくるわ、でけぇ喚き声はするわ、おかげでナミにどやされるわ・・・。 オレとしては、もう少しいい関係でやっていけてもいんじゃないかと思ってんだけどなぁ。 あいつの戦闘能力は認めてるわけだし、料理も旨ぇし。 何よりも。 オレぁコックに惚れてる。 で。明日の宴の飯を作ってくれるわけで、オレにも楽しみにしてろとか言ってたんだよ。 惚れてる相手からんなことを言われれば、オレだって嬉しいさ。 そうなってくっと、今、またコックの機嫌を損ねちまうと拙いよな・・・と思うわけだ。 このまま男部屋に帰るか。 そう思ったんだが、取り合えず窓からこっそり中を覗いてみた。 お・・・寝てやがるのか・・・? コックは机に突っ伏してる。酒瓶が横に置いてあるトコを見れば呑んでたのか。 オレはキッチンの扉をそっと開けて中に入った。 机の瓶を見れば残り2センチくれぇが残ってて、コイツにしては呑んだ方だと思う。 オレはその残りを一気に口の中に流し込んだ。 そして、そーっとそーっと椅子に座ると、コックの寝顔を見た。 整った綺麗な顔立ちに、白い肌と金髪。 シャツの襟元から見える項が酷く艶っぽくて、妙に心臓が騒いでいやがる。 そして気がついた。 コックの突っ伏した顔下に、何か紙切れがある。 よくよく見てみれば片手には羽ペンを持ったまま、 その横には5、6枚はあるだろうか顔下にあるのと同じ、手配書くれぇの大きさの紙の束。 明日の献立でも考えながら寝ちまったのかと思い、顔下をちょっとだけ覗いた。 オレはそこに書かれた言葉を凝視した。 ゴクリと唾を飲み込んで、横に置いてある紙束を手に取った。 ―― 何を書いてんだよコイツぁ・・・。 |
最期のほうは相当酔いが廻ってたらしいな。 これの後が今、顔の下にあるトコに繋がるってわけか・・・。 さてどうするか・・・このままにしとくのは勿体無ぇよな。 起こしてぇけど・・・怒るか・・・? オレはそう思いながら、コックの金髪にそっと触れてみた。 さらり、と指をすり抜けていく。 そのまま掌をコックの頬に当ててみれば、あったけぇ体温が伝わってくる。 「コック・・・起きろ・・・。」 ぼそり、と呟いてみた。 そうしたら。 ガバリ と、髪を振り乱して飛び起きやがった。 まんまるに開いた瞳は貫けるような蒼。 「んっっな・・・っっ?!っっなんで・・・て、ってめぇが・・・いいいいいっいんだよっっっ?!」 おーおー顔真っ赤にさせて。 「コレ・・・なんだ?」 オレはサンジの顔下にあった紙を、スっと摘んで目の前に差し出して意地悪く聞いてみる。 「あぁ?!何って、明日のてめぇの・・・・っっぬぁっっ?!なななななななっっ・・・それっっっ!! よよよっ読んだっっのかよ?!変態っっ!!!!」 何だ自分で自分が何書いてたのか分ってなかったのかよ・・・。 それに変体呼ばわりされる覚えはねぇぞ。 まぁいいさ。 「なぁ、オレ、誕生日なんだけど。」 「は?!知ってるよ!!んなこたっっ!!!つか、出てけよっっ?!」 「何で?」 オレは立ち上がってコックに詰め寄り、キッチンの壁際まで追い込んだ。 「なぁ。オレ、誕生日祝いにおめぇが欲しいんだけど。」 オレにとって、一生に一度であろう『愛の告白』ってやつを言ったんだが。 瞬間、サンジは怒り狂って縦横無尽に蹴りを繰り出してきた。 「バカヤロウーーー!!!オ、オレの気持ちを・・・気持ちをイイことに、自分の性欲処理にでもするつもりかよっ っ?!オレは・・・オレはっっ・・・そんな安売りはしねぇ・・・っぞ・・・!!!」 コックはボロボロと泣きながら怒り狂っていやがる。 どうやらオレの『愛の告白』は伝わらなかったみてぇだ・・・。 「お、落ち着けよっっ!!!こんの、勘違いコックっっっ!!!!」 オレはコックの脚を受け止めると、ぐぃと掴んでそのまま床に押し倒した。 両足をガッチリと自分の両腿で挟んで、両手もそれぞれ押さえつけた。 「っっは、離せっっ!!!」 泣きながら喚き散らしているコック。 くそ・・・こんな恥かしいコト言うとは思わなかったぞ・・・? 「サンジ。」 初めて名前を呼んでみた。 コックが泣くのをやめて黙った。 「よーく聞いとけ。オレもなぁ・・・・・・・・・・・おめぇに惚れてんだ。」 「・・・・・・・・・・ふぇ?」 何とも間の抜けた声が返ってきて。 そうかと思ったらまたボロボロと泣き始めた。 「本当に・・・??」 「男相手にこんなことマジじゃなきゃ言えねぇよ。」 押さえつけた身体からオレは退いて、壁に凭れ掛かった。 何とも照れる。 サンジも起き上がってきて、おずおずとオレの横に座り込んだ。 「・・・・・・オレも・・・・好きだ・・・・。」 ぽつ、と消え入りそうな声でそう言ったサンジが、とんでもなく可愛くて。 そっと顔を近付けて、唇を重ねた。 こんな誕生日なら悪くねぇ。 サンジの顔下にあった紙切れに書かれていた言葉。 |
Fin. |
「Backswordman」のりおさんから、頂いてきちゃいましたv
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もう、何がいいって・・・サンジでしょ!サンジでしょ!サンジ、なんて可愛いんでしょ!
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普段言いたい事の1割も言えてないんだろうな〜。
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んで、言わんでもいい事ばっかり言ってんだろうな〜。
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メニュー考えてるのに、無意識の内にゾロへの想いを書き連ねちゃうサンジが、最っ高に可愛い!!!
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りおさん、可愛いサンジと幸せなゾロをありがとうございましたvv
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