impromptu
月森蓮VS土浦梁太郎



風はそよぎ、木々や鳥達が歌う。その上には青空が広がり、その下では暗雲が立ち込める。そんな光景を、あなたは見た事があるだろうか。

「すみませんが、俺は遠慮しておきます。練習がありますので」

「へえ?流石は音楽科の天才ヴァイオリニスト。練習熱心なこった」

事の起こりは、この星奏学院で開かれている学内音楽コンクール参加者の一人である火原和樹の提案だった。何でも『参加者同士のシンボクを深める為のミーティング』なるものを開きたいのだとか。

「ちょ、ちょっと待ってよ二人とも。ほら、落ち着いて……」

仲裁に入った火原和樹の言葉が終わるか終わらないかというところで、『俺は落ち着いてます』と、同時に声が飛ぶ。存外この二人、息が合うのではないかとも思うのだが……。これまでの様子を見る限り、その相性の悪さは如何ともし難いものがあるようだ。事ある毎に口論を繰り広げる様は中々興味深いものだが、こうも度々騒がれてはファータとしても何とか出来ぬものかと――うん?

「普通科相手に、月森君が本気になる必要なんて無いだろう?」

ふむ、どうやら彼等の友人が加わったらしいな。だが、何故こうも彼等は音楽科と普通科という括りに拘るのか。音楽を前にすれば、人は皆平等だというのに。もしや、ファータの理念がこの学院に浸透していないからなのだろうか?

「はッ!何様だよ。音楽科だって事がそんなに偉いってのか?」

「あのさ、音楽科だとか普通科だとかって、そんなに気にする事じゃないと思う」

森の広場の片隅で繰り広がられていた口論は、その一言で収束に向かった。月森蓮と土浦梁太郎。そしてそれぞれの友人達は、火原和樹のもつ底抜けの明るさと友好心によって毒気を抜かれてしまったのだ。

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一方。そこから森の広場を挟んだ位置にあるカフェテリアでは、他愛無い話に花を咲かせる女生徒達に忍び寄る黒い影……いや、失礼。にこやかな微笑みを浮かべ、彼女達に声をかける男子生徒の姿があった。

「やあ、遅くなってしまったかな?」

「大丈夫。まだ和樹君達も来てないから」

彼女達は知らない。火原和樹が、森の広場の片隅で奮闘していた事を。そして、月森蓮と土浦梁太郎が火花を散らしていた事も。

「そういえば……もう結構時間経ってますよね」

「私達の方が、お待たせしてしまうかと思っていたんですけど……」

このように個性豊かな参加者を揃えられたのは、やはりアルジェントたる者の資質なのだろうか。ラーメたる私には、理解し難いものなのかもしれない。





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(壁紙:篝火幻燈/篁 龍沙さま)

……すみません。
本編で散々やり合う二人なのでサラッと書いてみたら、名前変換無しな上にファータ主体になってしまった。
新釈ファータの独り言!とか、適当な事を言ってみたり……あはは。
笑っておくので誤魔化されて下さい!





橘朋美







FileNo.108_05 2010/4/22 ※2010/10/13修正加筆